MCP でゲームエンジンを AI に操作させる:エンジンごとに AI を分けて使う理由

MCP を使うと、AI がゲームエンジンや 3D ツールを直接操作できます。Unity は Claude、Godot・Unreal Engine・Blender は Codex と、道具ごとにつなぐ AI を分けている理由と、使うときの注意点をまとめます。

/ 約 2,727 字

  • AI
  • MCP
  • Unity
  • Claude
  • Codex

AI にゲームを作らせるとき、これまでは AI が書いたコードをコピーしてエディタに貼る、という作業が必要でした。 MCP を使うと、その手間がなくなります。AI がゲームエンジンのエディタを直接操作できるようになるからです。

筆者は今、Unity・Godot・Unreal Engine・Blender の4つを MCP で AI につないで使っています。 ただし、1つの道具につなぐ AI は1つだけと決めています。この記事では、MCP の仕組みと、そう決めている理由をまとめます。

この記事で出てくる言葉

言葉意味
ゲームエンジンゲームを作るためのソフト。Unity、Unreal Engine、Godot など
エディタゲームエンジンの編集画面。キャラクターを置いたり、設定を変えたりする場所
Blender3D のモデルを作るための無料のソフト
Claude Code/CodexAI が自分でファイルを読み書きして、プログラムを作ったり直したりする道具。Claude Code は Anthropic、Codex は OpenAI のもの
サーバー頼まれた仕事を受け付けて処理するプログラム。MCP サーバーは自分の PC の中で動く
Gitファイルの変更の履歴を残して、いつでも前の状態に戻せるようにする仕組み

MCP とは

MCP(Model Context Protocol)は、AI と外部のソフトをつなぐための共通の決まりごとです。 Anthropic が2024年11月に公開し、2025年12月には Linux Foundation の中に作られた Agentic AI Foundation に寄贈されました。 Anthropic、OpenAI、Block が共同で設立し、Google や Microsoft なども支援しています。 今では Claude だけでなく、OpenAI の Codex や、多くの AI ツールが対応しています。

仕組みは単純です。ソフトの側に「MCP サーバー」を用意すると、そのソフトでできる操作が「道具(ツール)」の一覧として AI に伝わります。 AI は、その道具を選んで呼び出すことで、ソフトを操作します。 AI がモデルや画像を直接作るのではなく、人がエディタで行う操作を、AI が代わりに行うというのが本質です。

何ができるようになるか

Unity 用の MCP サーバーの1つ「MCP for Unity」の場合、次のような操作を AI に頼めます。

  • シーンを作る、ゲームオブジェクトを配置する、コンポーネントを付ける
  • C# のスクリプトを作って書き換え、コンパイルエラーを確認する
  • マテリアルや描画の設定を変える
  • テストを実行する、プロファイラーで重い処理を調べる、ビルドする

AI がエディタのコンソールを直接読めるので、「スクリプトを書く → エラーを読む → 直す」を AI 自身が繰り返せます。 コードを貼ってはエラーを伝える、という往復がなくなるのが一番大きな変化です。

エンジンごとの MCP

道具主な MCP サーバー状態
UnityMCP for Unity(コミュニティ製、MIT ライセンス)Unity 2021.3 から 6 まで対応
Unreal EngineUnreal MCP(Epic 公式のプラグイン)5.8 で実験的機能として追加
Godotコミュニティ製・商用のものが複数2026年に入って選択肢が増えている
BlenderBlender MCP などコミュニティ製Blender の Python API を通じて操作

Unreal Engine は、Epic が公式の MCP プラグインを出したことで、エディタの中で MCP サーバーが動くようになりました。 ほかの3つは、コミュニティが作ったものを入れて使います。

筆者の組み合わせ

道具つないでいる AI
UnityClaude
GodotCodex
Unreal EngineCodex
BlenderCodex

どの AI も、技術的にはどの道具にもつなげます。 それでもこのように分けているのは、競合を起こさないためです。

1つの道具に、つなぐ AI は1つだけにする理由

同じエディタを2つの AI が同時に触らないため。 2つの AI が同じプロジェクトを同時に操作すると、片方が作ったものをもう片方が上書きしたり、 片方の変更でもう片方の前提が崩れたりします。AI 同士は、相手が何をしているかを知りません。

何が起きたかを追えるようにするため。 問題が起きたとき、その道具を操作していた AI が1つなら、原因を探す範囲が狭く済みます。 どちらの AI の操作が原因か分からない、という状況を作らないようにしています。

AI に見せる道具の数を増やしすぎないため。 MCP サーバーを1つつなぐと、たくさんの道具が AI に見えるようになります。 MCP for Unity だけでも、道具の数は40を超えます。 つなぐサーバーを増やすほど、AI が選ぶべき道具も増え、選び間違いが起きやすくなります。

使うときの注意

MCP サーバーは、自分の PC で動くプログラムです。 入れるのは、提供元がはっきりしていて、中身を確認できるものだけにしています。

AI がファイルを書き換えます。 AI は頼んだこと以外のファイルに手を入れることがあります。 プロジェクトは必ず Git などで管理し、いつでも元に戻せる状態にしてから使っています。

実験的な機能は、実験的なものとして扱います。 Unreal Engine の公式 MCP プラグインは、5.8 の時点では実験的機能です。 仕様が変わる前提で、大事な作業の前には保存と記録を欠かさないようにしています。

設定の入口

どちらの AI も、MCP サーバーの追加は数行の設定で済みます。

  • Claude Codeclaude mcp add コマンドで追加する
  • Codexcodex mcp add コマンドか、設定ファイル ~/.codex/config.toml[mcp_servers.名前] として書く

MCP for Unity のように、エディタ側の画面から AI への接続を設定できるものもあります。 細かい手順は道具ごとに違うので、それぞれの公式の説明に従ってください。

初心者が始めるなら

1. 先に Git で履歴を残せるようにする AI に操作させる前に、プロジェクトを Git で管理して、前の状態に戻せるようにしておきます。 これがあれば、AI が思わぬ変更をしても怖くありません。

2. つなぐのは、1つの道具に1つの AI から 最初から複数をつなぐと、うまく動かないときに原因が分かりません。 まず1つの組み合わせで慣れてから、少しずつ増やしてください。

3. 最初は「見てもらう」ことから頼む いきなり「作って」と頼むより、「今のシーンに何が置いてあるか説明して」「このエラーの原因を調べて」のように、 変更を伴わない頼みごとから始めると、AI が何をどこまでできるのかがつかめます。

出典

← Logs 一覧へ